Friday, November 28, 2008

狂気のブラック・フライデー

サンクスギビングの祝日は、毎年11月最終木曜日、と決まっている。

翌日の金曜日は、『BLACK FRIDAY』(黒字のフライデー)と呼ばれ、全米の小売店が一斉に年末大セールをスタートさせる日。

そのブラック・フライデーの今日、ニューヨーク市郊外で、ある悲劇が起こった。

ロングアイランドのValley Streamという街のモールにあるウォルマートはブラックフライデーには朝5時から開店ということで、早朝から買い物客が店の前に群れをなしはじめた。

正面入り口には2000人近くのショッパーが開店を待っており、ギャーギャー押し合いへし合いしていたが、開店5分前の4時55分、正面入り口のドアが壊れ、買い物客が我先にとワーーーッと店内になだれ込んだ。

そのとき、店の内部で入り口前に立っていたウォルマートの従業員が、雪崩のように飛び込んできた客の塊りになぎ倒され、下敷きになった彼は、病院にかつぎこまれたものの、一時間後に死亡した。
http://www.nytimes.com/2008/11/29/business/29walmart.html?bl&ex=1228107600&en=95e0984e8f92cc7c&ei=5087%0A


このニュースを読んで、「狂ってる・・・」と思った。

大恐慌以来の不景気といわれてるさなかに。

明日の給料がどうなるかもわからんというときに。

クレジットカードの支払い延滞が全米で急増しているというのに!

この国には、まだ、朝5時前から店の前に並んで、店の入り口のドアをなぎ倒して店の従業員を踏んづけてでもショッピングしたいひとが大勢いる、ってんだから。

ラジオニュース聞いてたら、全米のどのモールも、朝から買い物客で溢れてる、というではないか。

これを『全米狂気の買い物依存症』と呼ばずして、なんと呼ぶ。

しかしね、朝5時から目をランランとさせて買い物しまくらなくちゃいけない理由は、あたしなんかには全然わかりませんな。

ブラックフライデーには朝からモールに行って買い物せにゃあかんというのは、「例年の儀式」というより、むしろ、ある種の「強迫観念」なんじゃないでしょうか。

政府支給のフードクーポンで買った冷凍ピザで夕食済ませて、赤ん坊の哺乳瓶にコカコーラ入れて飲ませて、子供には朝昼晩ドーナツ食べさせてるようなだらしのない女が、ブラックフライデーには朝からデカイ尻をゆすってウォルマートのフロアをドタドタとカート押して走り回る・・・。

ああ・・・なんとおそろしい図・・・。

どうせ買うなら少しでも安いものを、ってのはわかるけどさ、そんなに買い物するお金があるなら、少しでも貯金したらどうなんだと、わたしは言いたい。

アメリカの貯蓄率、2005年と2006年にマイナスになったんである。
http://www.msnbc.msn.com/id/11098797/

年を通じて貯蓄率がマイナスになったのは、大恐慌直後の1932年と1933年、そして、2005年と2006年の4回しかない、ってんである。

マイナスですよ、マイナス。

お給料の1%でも2%でもいい、給料日のたびに、ちょっとづつでも貯めるという心がけが、この国のひとたちには、まったくといっていいほどないんだから。

ピルグリムとインディアンが仲良く『感謝の宴』を開きました、なんつーおとぎ話を教えてるヒマがあるのなら、「貯蓄の大切さ」を小学校から子供たちに教えろ!とわたしは言いたい。

今年は景気がこの有様だから、このクリスマス商戦が前年比でどれほど落ち込むか、市場では誰もが固唾を呑んで見守っている。

「落ち込むだろう」ってのは、コンセンサスとしてすでに株価に織り込まれている。問題は「どれぐらいのレベルまで」落ち込むか、ってことよね。

予想よりも落ち込み方が激しかったら株価はさらに下がり、予想よりよかったら株価は上がる。ボラティリティは激しいだろうな。

でも、そんな株価の上がり下がりも、しょせんはその場その場の短期的な動きでしかない。

長期的には、先行き暗いことに変わりはない。

こういうときこそ、地道に小銭の貯金である。CASH IS KING!

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